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抄読会を開催致しました

 9月14日(水)の院ゼミにて抄読会を開催致しました。 今回は博士課程1年の中村 恒穂 先生が担当されました。

(抄録)

背景

:ソーシャルキャピタルと死亡率との関係を評価した前方視的コホート研究はほとんどない。そのような研究は、西欧諸国において実施され、同じソーシャルキャピタルの指標は使われなかった。この研究では、様々な個人のソーシャルキャピタルの形と日本におけるすべての死亡原因との関係を調べることを目的とした。

方法

:自己実施方式の質問票を2003年のAichi Gerontological Evaluation Study(AGES)の対象者に郵送した。回答のあった14668名について2003年から2008年までの死亡率を分析した。個人のソーシャルキャピタルの認識と構造的な成分について集めた。8が認識的ソーシャルキャピタル(信頼3;社会支援3;相互扶助2)それと9が構造的ソーシャルキャピタル(社会ネットワーク)であった。性別によって階層化し多重補完したCox の比例ハザードモデルを用いた。年齢、体格指数、自己申告による健康、現在の疾患、喫煙歴、アルコール摂取量、運動、等価所得と教育を共変数とした。

結果

:27571人年の男性と29561人年の女性を追跡し、男性790人、女性424人が死亡した。男性の単一変量解析において、低いソーシャルキャピタルは1つの信頼変数とすべての相互扶助の変数と4つのソーシャルネットワーク変数の中で高い死亡率と著明な関係があった。共変数で調整した後、男性において低い友人関係のネットワークは高い死亡率と著明な関係があった(ほとんど友人に会わない;HR=1.30、95%CI=1.10-1.53)、女性は友人がいない;HR=1.81、95%CI=1.02-3.23であった。)女性の間では、低い一般的な信頼が低い死亡率と著明な関係がみられた。(大多数の人は信頼できない;HR=0.65、95%CI=0.45-0.96)

結論

:友人関係のネットワークは日本の高齢者のすべての原因による死亡率の良い予測指標であった。これに対して、信頼できないということが女性では低い死亡率と関係がみられた。異なった文化的背景を考慮したソーシャルキャピタルの指標に関する研究が必要である。

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