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抄読会を開催致しました

 7月20日(水)の院ゼミにて抄読会を開催致しました。 今回は博士課程1年の中村 恒穂 先生が担当されました。

Hiroshi Murayama , Yoshinori Fujiwara, and Ichiro Kawachi. Social Capital and Health : A Review of Prospective Multilevel Studies. J Epidemiol 2012 ; 22(3) : 179-187.

○書誌情報

 Journal of Epidemiologyは、日本疫学会が公式に発行するオープンアクセスの学術雑誌。 本雑誌は、人間の健康に関係する幅広い範囲の疫学に関するオリジナル研究を公表し、疫学研究の知見を利用する人や、疫学研究に携わる人々の間のコミュニケーションを促進することを目的としている。

 Impact factor 3.022(2014), 2.546(2015)

○筆頭著者のチームに関する情報

 東京都老人総合研究所の中の、「社会参加と地域保健研究チーム」の研究チーム。主な研究テーマは以下の通り。

1 健康と高齢者の主観的幸福感を阻害する社会的要因の解明。

2 ソーシャル ・ キャピタルと多世代社会に向けて世代間交流の効果の検証。

3 高齢者の多様なニーズに対応する社会貢献プログラムの開発。

4 社会的孤立の防止のため、多層集積地域ケア ・ システムの開発。

○なぜ、この論文を選んだか。

1 最近非常によく耳にする言葉として、「ソーシャルキャピタル」があるが、自分自身が、その意味をよく理解していないこと。

2 看護学生に公衆衛生について講義をする機会があるが、「ソーシャルキャピタル」について正しい知識を伝えられない。

3 平均寿命の地域格差の要因を調べる中で、「ソーシャルキャピタル」がどのように影響しているのか知りたいと思いました。

4 本論文はレビュー論文であり、「ソーシャルキャピタル」について総合的に知ることができると思い選択しました。

(抄録)

 背景:この文献は、ソーシャルキャピタルの概念の概観を示し、ソーシャルキャピタルと健康の関係について前方視的マルチレベル研究についてレビューし、ソーシャルキャピタルの活性化の方法について議論した。

 方法:PubMedデーターベースを用いて、出版された文献を系統的に調査し、健康の結果によって研究を分類した。

 結果:基準に該当した13の文献をレビューした。一般に、研究デザインや、設定、追跡期間、健康結果の種類などにかかわらず、個人的なソーシャルキャピタルと地域あるいは職場のソーシャルキャピタルは健康によい結果をもたらした。マルチレベル分析を用いた前方視的研究は主に西洋諸国で行われた。日本を含むアジアの国では横断的なマルチレベル分析は行われていたが、前方視的研究は行われていない。

 結論:ソーシャルキャピタルが健康に与える影響についてマルチレベル分析による前方視的証拠は非常に限定的である。もし、ソーシャルキャピタルと健康とのマルチレベル分析から得られる疫学的所見が実用に使うのが困難であれば、我々は、さらに証拠を集め、健康づくりを推進するためソーシャルキャピタルを開発する実用的な方法を開発する必要がある。

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